琥珀色の再会

                 Written by史燕

ロックグラスに入った大きな丸氷。
その周りを琥珀色のウイスキーが覆い隠すように佇んでいる。
屈折した照明の明かりは、氷の中を七色に彩り。
スモーキーな独特の芳いが鼻孔を楽しませる。
ゆっくりと流れる時間は、少しずつ溶けていく氷と共に。

――碇、お前もそろそろ結婚したらどうだ?

先日めでたく結婚した同期から声がかかった。
別に珍しい話じゃない。
20代の半ばを過ぎた独り身は多かれ少なかれ大抵こういった話が振られてくる。
前時代的だと思わないでもないが、そう言って一緒になって管を巻いていたやつからもこうして掌を返して浴びせられるのだから、堪ったもんじゃない。

――お前、付き合ってる相手はいるのか?

いやしないさ。それがどうしたって言うんだ。
年長者も若手も、揃いも揃って異口同音。
わかってはいるんだ。
彼女を作って、結婚して、子供が生まれて、犬なり猫なりペットを飼って。
ステレオタイプではあれど、それがひとつの「一般的な幸せ」というものだろう。
とてもそうするつもりにはならないけれど。

――碇、女の子に興味が無いのか?

会社で一番美人と評判だという女性が、たまたま業務で普段顔を出さない内の部署に顔を出したときに、「ありがとう、それじゃ」と言って至って平常通りに応対した後、言われた言葉だ。
ずいぶんな言い草だと思う。

――せめて1秒でも会話を続けたいとか、あわよくばお近づきにとかさ

そう言った同期に、「何を言ってるんだ」と返事をしたら、この世のものとは思えない者を見るような目つきでまじまじと見つめられた。

「別に、誰彼構わず好かれてもね」

通り一遍、人当たりのよい応対くらいはやる。円滑なコミュニケーションは社会生活を営む上で必須だ。ただ、「美人とみればさらにワンランク上の対応を」とか「女の子にもてるために愛想を振りまいておく」とか、そういったことまでするような気にはならないだけで。

「そんなことをするくらいなら、一人で飲んでいる方がよっぽどいい」

言葉にならない声を上げて、ロックグラスから少しだけ口に滑らす。
ヒリつくように喉が焼ける。最初の一口はストレートと差して変わらないのだから当然だ。
それでも、ハイボールや水割りでは味わえない、生のままの味わいが愉しくて仕方がない。

――飲みに行こうぜ

誘われれば付き合わないことはない。
しかし、やれ一気飲みだとか、それおもしろいことをしろだとか、そういったことにはまったく興が乗らなかった。
性分、というものかもしれない。
馬鹿騒ぎ自体が嫌とまでは言わないけれど、それよりも、こうしてこじんまりとしたBARの片隅で、ひとりでグラスを傾けている方がよっぽど気が休まる。
おそらく、向いていないのだ。
大勢と一緒に騒ぐということが。

――碇って、誰かを好きになったことないだろ

たまには付き合ってやるか、と件の同期の祝いもかねて宴席に出席した先頃、言うに事欠いてそんな言葉を浴びせられた。
このときばかりはさしもの温厚で知られる僕も思わず手を上げようかと思った。
衝動のままに身を任せていたら、相手は1週間ほど食事難渋する羽目になったことだろう。
もちろん、相手は泥酔していることは理解している。
だからこそすんでの所で握りこぶしを歯がみして振りほどいたのだから。
酔った勢いで狼藉沙汰なんて、それこそ望むところではない。

「いるには、いるさ」

握りこぶしと共に、吐き出すのをこらえた言葉を、いまここで。
恋い焦がれた相手なら、いる。
名前も知らない少女だと言えば、それこそ一笑に付されるだろうけれど。
今だって、目をつむればすぐさま浮かぶ。
蒼い髪の一人の少女。

「きみは、今どこでどうしてるんだろう」

カタリ、とグラスの中で氷が音を立てた。

いつもひとりで寂しそうに笑っている。
近づいて手を伸ばせば泡雪のようにとけて消える。
夢で逢えるならいくらでも眠ろう。
近づいてきてくれるならいくらでも待とう。
しかしながら、そうはいかないことは嫌になるほどわかっていた。

夢という訳ではない。
幻というのも違う。
確たる存在として彼女を感じつつも、言葉を交わすことさえ叶わない。

「むしろ、ずっと片想い中だよ」

ゆっくりとグラスを傾け、嚥下する。
少し氷の溶けたウイスキーは先ほどよりもほんのちょっぴりまろやかな風味になっていた。

名も知らぬ蒼髪の少女に恋い焦がれている。
彼女のバッグになぜか時折映り込む十字状のモニュメント、そこにまで足を伸ばしてみたこともあった。結果は空振り音も事も無し。
お偉い学者先生が丸数年掛けて何もわからないというのだから、もとより期待もしていなかったけれど。

「きみに逢いたいよ」

目蓋越しではなく、直接。
その声を、聞いてみたいんだ。
その瞳を、もっとしっかり見つめたいんだ。
グラスの中の水面に、蒼髪が浮かび、揺れて消えた。

カウンターの隣で、ひたすらビールを開けていた女性が席を立とうとした。
酔ってよろけたのか、立ち上がり損なったその女性を、隣で飲んでいた連れ合いの男性が「おいおい、しっかりしろよ」と手を差し出し引っ張り上げる。
「ごめん、ちょっち飲み過ぎちゃった」と形だけ謝りながら、腕を絡ませて歩いて行く。
その二人の姿にどこか懐かしさを感じ、「どこかで見かけたかな」と既視感を抱きながらグラスへと視線を戻した。

「隣、いいですか?」

グラスを片手に陶酔に浸る中、突如声をかけられ、目を見開く。
声の主を見て、もう一度見直した。

蒼い空のような髪、雪のように白い肌に、切れ長の目に紅い瞳。
僕はとうとう現実でも夢を見るようになってしまったのか。
僕の空想と、ほぼ同じ姿の女性。
目蓋の裏の彼女より、数歳、年上だけど。

「少し酔いすぎたかな」

そう言いながら、自分の目をこする。
見間違いではない。
いや、酒が回って幻覚を見ている可能性は否定できないけど。

「お水、頼みましょうか?」

幻聴まで聞こえてきたか、いよいよ事態は宜しくないかも知れない。
夢の中で聴いていた声より、幾分か丁寧な言葉遣いだけど。
まだ1杯目なのに。

「はい、どうぞ」

そう言われながら差し出されたグラスを、受け取る。受け取ろうとした。

「おっと」
「あっ」

そこで、目測を誤り、取り落としそうになって、慌てて両手でグラスを抱える。
隣の女性の右手ごと。
冷たいグラス、あたたかい右手。
酔って茹だった頭が、瞬時に覚醒する。

「ごめんなさい、酔ってしまったみたいで」
「いえ、いいの。お酒、好きなの?」
「ああ、少し嗜む程度には」
「それじゃあ、あなたと同じものをお願いしようかしら。お酒、詳しくなくて」

こんな場末のBARにひとりでやってくる女性が、酒に詳しくないわけがない。
それでもこんなことを言ってくれるのは、先ほどの失態を無かったことにしてくれるのだろう。

「ウイスキー、大丈夫ですか?」
「ええ、たぶん」
「ミストレス、こちらの女性にBELL'Sのロック。僕に付けて」
「そんな、悪いわ」
「いえ、口に合わなかったらいただくつもりなので」
「まあ」

お代を僕が持つのは、先ほどのお詫びを込めて。
それを辞退する彼女に、飲兵衛だからという言い訳を添える。

「碇君が女性に奢るなんて珍しいですね」

老齢の女性店主が、ロックグラスを置きながら言った。

「勘弁してくださいよ。美人が隣で緊張しているんですから」
「碇君、そんな台詞言えたのね」
「……どういう意味ですか」
「あら、どんな美人なバイトの子にもそんなこと言ったためしがないじゃない」

本当に、ご勘弁願いたい。

「さて、せっかくのいいお酒が温くなってしまいますね」
「あら、逃げられちゃった」

戦略的撤退と言ってほしい。
隣の女性に、恋い焦がれた夢の中の住人にそっくりな彼女に向き合い、グラスを掲げる。

「乾杯」
「かんぱい」

高らかに宣言する僕に、付き合うように小さな声で言った彼女。
舞い上がっている、そんな自覚はある。
おそらくこの場限りの一会になるとはいえ、だからこそせめて彼女にも気持ちよく。

「碇君」

彼女のその声を、どこか懐かしく思うのはなぜだろうか。

「はい」
「あっ。名前、聞こえたのでつい。さん付けの方がよかったでしょうか?」
「いいですよ、碇君で」
「同じくらいの年代だろうし、お互い言葉も崩さない?」
「ええ、構わないわ」

早速、丁寧語が抜けるあたり、無理をしていた、ということなのだろう。

「僕は碇シンジ、さっきミストレスとの会話で聞こえてたみたいだけど。きみの名前は?」
「綾波レイ。私の名前は、綾波、レイ」

これが本来の話し方なんだと思う。
はっきりと、要点だけを簡潔に。
それが、不思議と耳に心地よいと感じるのはなぜだろう。

「綾波さん、かあ」
「綾波」
「えっ」
「綾波、そう呼んでほしいの。碇君には」
「う、うん」

決然とした口調できっぱりと言われてしまって、思わずうなずく。
どこかこだわりがあるのか、「じゃあ僕も碇で」という提案には「ダメ、碇君は碇君」とぴしゃりと断られてしまった。

「僕だけ敬称なしで呼ぶのは気が引けるのだけど」
「いいの、私は、これが一番いいの」
「わかったよ、綾波」

そこまで言われたらしょうがない。
別に僕の方にこだわりがあるわけでもないのだし。
しかし、「綾波」という呼び方は使ってみるとこれ以上無いくらい舌に馴染んだ。
まるでそう呼び合うのが遠い昔からの定めであるかのように、自然と「綾波」「碇君」と呼び合うことに違和感がない。

「あら、意外と口当たりがいい」
「でしょう? お酒を飲み始めた頃に勧めてもらったんだ」
「香りもあまりきつくないのね」
「うん、だから女の子も飲みやすいかなって思ったんだ」

そのまま盃を交わしつつ、会話を進める。
ほとんど、僕が話してばかりだ。
仕事は近所の書店。住所は1駅先のマンションで、高校に上がる時に上京してきた。
そんな何の面白味もない身の上話を、「うん、うん」と一生懸命聞いてくれるものだから、つい口先がなめらかになる。

「ごめん。ところで、昔どこかで会ったことがあるような気がするんだけど」
「それは、どうだったかしら?」
「やっぱり、ないよね」

この質問に対して言いよどんだ彼女に、失敗したな、と思って即座に切り上げる。
やはり、他人の空似ということか。
空想の中の女の子に、指先までそっくりな人物が現れたものだから、少し調子に乗ってしまった。

「いきゃりくん」

それからそこまで時間も経たないうちに、彼女の言動が怪しくなりはじめた。
真っ白な頬が桜色に染まり、紅い瞳がとろん、としている。
僕の呼び方も、いささか舌っ足らずになっているくらいだ。

「どうしたの?」
「これ、あげる」

そう言って、中身が半分に減ったロックグラスを差しだしてきた。

「美味しくなかった?」
「おいしいろ。だから、あげりゅ」

言っていることの整合性がない。
まさか、ほんとにお酒になれていないとは。

「それじゃあ、ミストレスにお願いして下げてもらおうか?」
「だめ、いきゃりくんがのんれ」
「ええ……」
「らって、のんれくれりゅんれしょう」

言った、たしかに言った。
でもそれはあくまで奢るための口実であり、女の子が口を付けたグラスをそのままもらうのは気が引けた。
こんなことなら「同じもの」にせず、水割り程度にしておけばよかった。

「のんれくれにゃいの?」
「いや、飲む、飲むからさ」

ミストレスにグラスを移してもらえばいい、そんなことを考えていたが、目の前の酔っ払いはそんな常識的な分別など持ち合わせていなかったらしく……。

「よかっら、じゃあ」と言って、おもむろに口にウイスキーを含むと、両手でぼくの頬を押さえ「ちょ、ちょっとあやなみ!?」と制止する声も届かず、そのまま彼女の口付けと共に、僕の喉へと流し込まれた。ご丁寧に、舌まで使って。

「ぷはっ」という息継ぎと共に、僕はようやく解放された。一方の彼女は「おいしかっられしょ?」と満足げである。
明日素面になったとき、後悔するんじゃないだろうか。菓子折片手に謝罪すべきか、いや不可抗力なんだけど。

「ミストレス、お会計を」
「はいはい、すっかりごちそうになったみたいだものね」

一部始終をカウンター越しに見られていた自覚が湧き、アルコールとは別の理由で、顔が焼けるように熱い。
他方、この状況をもたらした女の子のほうはというと、「いかりきゅん、もうおわかれらの?」と瞳を潤ませながら腕に抱きついている。やめて、僕の理性の限界に挑戦しないで。

結局、彼女に腕を取られたまま店を後にした。

「家まで送るよ」
「えへへ、いきゃりくんといっしょ〜」

最初のクールな大人の女性としての立ち振る舞いは影も形もなく、見ず知らずの男に無防備に身を預けている。自分が美人だという自覚がないのだろうか。
果たして自分がそこまで心配してあげるような立ち位置なのかというと首をかしげたくなるけれど、それはそれとして、この上体の綾波を放っておくことなんてできるはずもない。
まずは夜風に当たりながら時間を潰して、落ち着いたタイミングで別れるのが吉だろう。
だから、腕に頬ずりしないで、簡単に「マンションまで行く」なんて言わないで。

満月に照らされて、川縁を歩く。今もまだ、右腕は彼女に囚われたまま。
「放してよ、綾波」そう言ったところ「いや、ぜったいにはなさないもん」と、よりいっそうかたくなに腕を抱きかかえられてしまった。
月明かりに照らされた夜道に、一つに重なった影がはっきりと写し出されている。

街のすぐ近くにある、すり鉢状に広がる湖までたどり着いた。
ここでなら、最悪どのくらい時間を過ごしても、誰かに邪魔されることはないだろう。
押し寄せる波が綾なす様を眺めながら、わがまま姫のご機嫌を伺う。

「じゃあ、あたしにいきゃりをおろしてくれりゅ?」

酔った勢いとはいえとんでもないことを言い出されてしまった。
僕以外の男性諸氏が聞いたらそのままホテルに連れ込まれかねない台詞だ。
まて、早まるな碇シンジ。相手は酔っ払い、責任能力が無いんだ。

「て」
「手?」
「やっぱり、あたたかいわ」

そう言って彼女は抱きしめていた右手を、そのまま愛おしそうに両手で抱える。
その姿は、先ほどまでと打って変わって、優しく、神秘的で。
夜空に浮かぶ月の光を浴びて、僕の目には輝いて見えた。
そしてまた、既視感が浮かぶ。
満月の夜、こうして二人で。

「さよならなんて、寂しいこと言うなよ」
「えっ」

ふと、口を突いた言葉に、どこか懐かしさを覚える。

「あれ、あれれ」

気がつけば、僕の目から、頬をぬらすものが、ぽつり、ぽつり。

「そう、たしかきみは、真っ白なスーツを着ていて」

空想の中の彼女と目の前の彼女が重なる。

「そう、たしかに言ったんだ『あなたは死なないわ、私が守るもの』って」
「それは……」
「やっぱり、きみは”綾波”なんだね」
「エヴァンゲリオン零号機パイロット、綾波レイ」
「いえ、違う。違わないけれど、私は二人目でも、三人目でもないから」
「わたしはたぶん、そのどちらでもない。数えるとすれば四人目――「そんなこと!!」」

否定とも言い切れない否定の言葉を口にする彼女に、今日で一番大きな声で、勢い任せの荒げた声で、心に響けと訴えかける。

「そんなこと、どうだっていいんだ」
「それは」
「正直、よくわからない。だけど、きみだから、きみがいるから」
「目の前のきみが、僕にとっての綾波レイだ。何人目だとか、クローンだとか、そんなものは、関係ない」

そう、関係が無いのだ。
恋い焦がれた彼女が目の前にいる。
僕のためにすべてを投げ打ってくれた彼女が、もう二度と会えないと思った彼女が、ここに、僕の手の届くところにいる。
ずっと見てきたヴィジョンの意味なんてわからない。
エヴァンゲリオンなんて、なんのことかさっぱりだ。
それでも、大切なことだけは間違えない。
大切なヒトだけは取りこぼさない。

「ねえ、それじゃ、ダメなのかな。僕が何人目なのか、僕自身だってわからないんだ」

激情のままに言いつのった言葉の嵐。
最後は懇願するように、目の前の彼女が、天の羽衣を手にしないように。

「ダメじゃ……」

予想外の剣幕に気圧された彼女が、恐る恐る答えを口にする。
意思の糸を紡ぐように、意思の音を奏でるように。

「ダメじゃないの」
「だけど、私は、ひと目見るだけで、ひと言言葉を交わすだけでよかったのに」
「これ以上、望んではいけないのに」

彼女の返答は、先ほどの言動を顧みても大変慎ましい願い。
哀愁さえ匂わせる返答に、言葉をどう返すべきか瞬時には判断が付かないが、このまま絶句しているわけにはいかない。

「僕も、同じなんだ」
「それは」
「僕も、ひと目逢いたかった。話がしたかった。正直、ほとんど何も知らないけれど」
「それでも、きみの名前さえ思い出せなくても、きみに逢いたかったんだ。ずっと、ずうっと」

それは20数年分の、もしかしたらそれ以上の年月を重ねた上での、彼女への告白。

「きっと、ずっと待っていたんだ。綾波が還ってきてくれることを」

それは、彼女と交わした遠い遠い約束。
きみとまた手を、そんなささやかな、だけど何ものにも代えがたい大切な大切な約束。

「綾波の手も」
「うん」
「綾波の手もあたたかいんだね」
「ありがとう」

つないだこの手のぬくもりは、決してほかのものでは代替できない。

「ところで、碇君」
「えっと、なに?」
「この後、飲み直しましょう」
「いいけど、どこで?」

お店はたぶん、どこも閉まっている。

「もちろん、碇君の部屋で」

そう言うや否や、彼女は手をつないだまま僕の右腕を抱き寄せ、しっかりと捕まえてしまう。胸の内に、宝石箱を抱え込むように。

「綾波、まだ酔ってるの?」
「酔っているかはわからないけれど、これからまた酔う予定」
「お酒、そんなに美味しかった?」
「うん、だけど」
「だけど?」

――あなたと一緒だから、格別なの――

これからまた、理性にN2爆雷が投下される時間が待っていることを確信したけれど、それもまた悪くないなと思う。
これから飲むウイスキーは、間違いなく今までで一番美味しいのだ。
だって僕もまた、きみと一緒だから。
琥珀色の水面越しではなく、現実の侭に目の前で揺れる蒼髪をそっと撫でた。





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